Small house in Tokyo in my 40s

二人暮らし、40代なりの人生の日々の考えごとについて書いています。フルマラソン目指しています。

辻村深月「家族シアター」 家族の集いに思う家族のこと

この度、祖父の20年祭が家族の間で厳かに執り行われました。

大好きだった祖父は私が大学1年の夏に入院し、そのまま帰らぬ人となりました。上品でダンディーな所が自慢の祖父でしたが、感情を表に出す事はなく、いつもじっとロッキングチェアーで新聞を読んでいるような人でした。

長く肺を患っていたので辛そうでした。そんな祖父が好きだった大学を受けて合格の報告に訪れた日のこと、ぼそっと「俺は幸せな男だ」と言ってくれたこと、それは今でも私の人生のプライドでもあり心を温かくする祖父との思い出でもあります。

 

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宝塚にある「若水」の2F「山茶香」にて。

平日にも関わらず姉や弟は休みを取って、何時間もかけて子連れで実家へ戻ってきました。長年海外暮らしで家族の集まりなどに参加できなかったので、こういった夏の集いが懐かしく感じました。

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会席だったので一品一品楽しみます。

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川が臨める開放的なホテル若水は食事、客室、お風呂全てにおいて極上のひと時を過ごすのには最高の場所です。 

喧噪から抜け出した宝塚という、温泉街の面持ちを残した土地が醸し出す街全体の落ち着いた雰囲気も魅力ですね。

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帰りの新幹線で読んだ辻村深月の「家族シアター」は、久々の家族の集いで昔に思いを馳せていた私の心に染み入り、嗚咽するほどに涙を流してしまいました。

特に姉と妹の話は、妹の立場からすると理解でき過ぎて辛くもあり悲しくもあり、今すぐにでも姉に謝りたい気持ちになりました。

 

妹は姉に嫉妬し、勝手に対抗心を燃やす。自分が勝っていることに優越感を感じ、自分自分となってしまうけれど、姉はまた違う感情を妹に持っているのだと、私も似たような経験があったことを思い出す。

その頃、人生が上手く行っている姉と比べては劣等感を抱き、影で批判するような事ばかりを吹聴し、姉の言葉の1つ1つに勝手に被害妄想を抱いては嫌な感情を増幅させていた。

そんな中で遠く離れた姉の家を訪れた時、リビングに飾られていたのは私が書いたイラストの数々でした。決して上手いとは言えないけど、自分なりには得意だと思っている絵を、姉はインテリアにしてくれていたのです。

それを目にした途端、つきものが取れたように心が軽くなって、全て順調で社交的な姉も、やはり家族を大切に考えているのだと知って、急に今までの自分の言動を後悔したのでした。

 

夏は切なく、儚く、一生懸命に走り抜ける季節。振り返った時にそれは力強く輝いて、いつまでも鮮やかに色濃く残る。

今年の夏も、きっと一瞬で駆け抜けて行くんだろうから、二度と手にできない今を大切にしていこうと思う。

 

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